★ 帰ってきた四月の馬鹿 ★
<オープニング>

4月1日

エイプリルフールということで、嘘が許される日といわれている。
本来は午前中だけという話はあまり知られていない。

だが、銀幕市の一部で去年一ヶ月遅れて変な奴に被害にあった人が多く、皆警戒していた。

『エイプリル・ガイ』と呼ばれる嘘をつかせて楽しませるヒーローであった。
 だが、今年はこの日にやってきた。『帰ってきたエイプリル・ガイ(邦題)』が実体化してしまったのである。
 相棒の『エイプリル・ボーイ』と共に、町を嘘で包みこむ。
 駐車違反や、未成年飲酒までもごまかしていくから大変である。
 市役所から、どうにかしてくれといわれるのは当然のことだった……。

種別名シナリオ 管理番号475
クリエイター橘真斗(wzad3355)
クリエイターコメント今度は時期をあわせて帰ってきました。
ただし、嘘のレベルが半端ないのでやっぱり退治してください。
どちらもゴリゴリの男子が好きなので要注意です。

参加者
神宮寺 剛政(cvbc1342) ムービースター 男 23歳 悪魔の従僕
真船 恭一(ccvr4312) ムービーファン 男 42歳 小学校教師
シキ・トーダ(csfa5150) ムービースター 男 34歳 ギャリック海賊団
梛織(czne7359) ムービースター 男 19歳 万事屋
悠里(cxcu5129) エキストラ 女 20歳 家出娘
<ノベル>

〜誕生、真舟『狂』一〜

 その日は妻である橘美春の誕生日だった。
 私、真船 恭一(ccvr4312) は妻とのひと時を楽しんでいた。
 少ない職員の給料を少しずつためて高級レストランで夕食をし、軽いデート。
 そして、告白をした公園で毎年渡している紅の薔薇を贈ろうとした。
 そのときである、奇妙な声が聞こえてきたのは……。
「「エイプリルフゥゥゥゥル!」」
 桜色のラメスーツをきた長身の男性とちょっと小太りな少年が私の側で妙なポーズを取って叫んでいた。
 その光景にみとれていると、私の頬に激しいびんたが飛ぶ。
「今日は私の誕生日じゃないわよ、何でバラなんかもっているの結婚記念日でしょ!」
 美春の眼には大粒の涙があふれ、走り去っていく。
 このようなことは結婚14年間一度もなかった。
 ブチンと私の鋼鉄の注連縄みたいな堪忍袋の緒が切れる音が耳に聞こえました。
「フフフフ、ハハハハ」
 口からは笑い声が出てきます。
 ラメスーツを着た男は私に対して言いました。
「ダメですねぇ、恋愛は男同士ですよ、フォォォゥ!」
「ざまぁみろ!」
 少年の方は捨て台詞のようなものをはいて私の前から姿を消します。
 原因はあの二人である事ははっきりしました。
「ミトコンドリャァァァァ! 妻を泣かせた罪、うらみ晴らしてくれようぞぉぉぉぉっ!!」
 人気のない夜の公園に普段の真舟からは想像もできないような声が響く。
 奇しくも3月末日のことである。
 
〜四月馬鹿を笑うものは四月馬鹿になく〜
「そういえば、この店今日からメイド喫茶になったんだってな」
「そうそう、スカートは膝上20cmらしいね」
 4月1日、奇妙な会話をバイトをしだして一週間の悠里(cxcu5129) は聞いた。
(「どうせ四月馬鹿でしょ」)
 そう思いながら、裏口からこっそりはいると先輩のアルバイターたちは猫耳と尻尾の具合を膝上20cmのスカートのメイド服でお互いチェックしてあっていた。
「え”」
「あ、おはようにゃん」
 絶句する悠里に先輩アルバイターは語尾ににゃんをつけて挨拶をしていた。
「お、おはようございます……」
 明らかにおかしいと思いつつも自分のロッカーを恐る恐るあける悠里。
 嫌な予想通りピンクのフリフリミニスカメイド服につけ尻尾とつけ耳が置いてあった。
 昨日まできていたウェイトレス衣装の姿はない。
「あの、いつからうちこんな店になったんですか?」
「今日からにゃん。早くゆうりたんも着替えるにゃん」
 いつも厳しい先輩の猫語が悠里の背筋を寒くし、一気に着替える事にした。
 そして、ハズカシさをこらえて悠里は接客をしだす。
「お、お帰りなさいませご主人様」
 人の顔も見ずとにかくお辞儀し続ける悠里に聞き覚えのある名前が聞こえてきた。
「おう、梛織はこういうお店もすきなのかっしらん」
「いや、昨日までは普通のみせだったんですよ。いや、マジで!」
 ちょっとしたおねぇ言葉でからかっているのはシキ・トーダ(csfa5150)で、からかわれているのは梛織(czne7359) である。
「な、梛織!?」
「うわ、悠里なんつーかっこうを……」
 顔を上げた悠里が梛織を確認し、お互いがお互いに突っ込みし合う。
「話せば長いんだけど、昨日までは普通の喫茶店だったのに今日きたらこんな風になっていたのよ。お店の前のお客さんの噂話は今日が4月1日だから」
「ずいぶん短い気がするけど?」
 いつもの口調に戻ったシキが悠里に聞いた。
「短いが嫌な予感がする……あれはそう一年前、告は……いや、なんでもないっ!」
 思わず過去の恥ずかしい事を口に出しかけてその口を梛織は両手で押さえた。
「青春だねぇ、ということはこの事件もムービースター関係ってことか?」
 シキは非番の暇つぶしができたといった具合に楽しそうに梛織に聞き出す。
「手短にいうとそう。さらにシキさんみたいなのが好みのゲイってやつ……まさか、本当に帰ってくるとは」
「あー、そういえば利奈ちゃんの告白相手をつめよたっとかどうとか……」
「だぁぁ! そ、それをいわないでくれ!」
 梛織は悠里に過去のトラウマをえぐられた。
「はいはい、それじゃあこんなところで暇売ってないで、そのゲイを退治しにいこうぜ。盾を確保してからな」
 シキは平然といいつつ二人にウィンクを投げかける。
 梛織の脳裏には一人の人物しか浮かばなかった。
(「神宮寺さん……」)

〜狙われた神宮寺〜
 ある晴れた4月1日。
 神宮寺 剛政(cvbc1342) はスーツにズボンのポケットに手を入れたヤクザ歩きをしていると、後ろから尾行されている気配がした。
 少し歩く速度を速めてみる尾行している気配も早く動く。
(「俺を尾行してやがんのか? どんな奴らだ」)
 神宮寺が急に止まり振りかえれば懐かしい桜色のラメスーツの男と小太りの少年がいた。
「またお前かよ!? 今度はご丁寧にオプション付きか!?」
 寄るなといおうとしたとき、小太りの少年がポーズを取って叫ぶ。
『エイプリルFOOL!』
「お前らみたいなのは大好きだ! 俺の胸で泣くがいい」
 最も言いたくない言葉を神宮寺は吐いていた。
「素直になりましたねぇ、一年待ったかいがありましたよ」
 長身の男と小太りの少年は奇妙な動きで神宮寺に近づいてくる。
「!」
 とにかく言葉に出す事は間逆になるのは経験済みなので、とにかく逃げ出す神宮寺。
 また一つ、誰にも知られたくないトラウマが増えてしまった瞬間だった。
 
〜再会の喜び、災害の連続〜
「前にアンタと会ってもう1年経ったと思うと無性にせつねぇーよ! しかも増えてんじゃねぇかっ!」
 店を出て、何度も顔からこける悠里を起こしあげながらエイプリル・ガイを捜していると、神宮寺を追っかけているところに遭遇した。
 ちなみに、今のが梛織の第一声である。
 一年前の怒りと共に、どこか再会の喜びを含んでいた。
「梛織! 丁度いい、こいつらを何とかするぞ。俺は……いろいろな理由で今こいつらに追いかけられている」
 たとえ付き合いが長い梛織と悠里だとしても『あの事』だけはいえない。
 いえるものではなかった。
「どうせ、嘘に引っかかって告白でもしちゃたんじゃないの?」
 ぐさっと、神宮寺の心に何かが刺さった。
 しかし顔には出さない。
 出してはいけない。
「違うわ! 二人揃っているとなんか前より強い、続編の可能性がたかいぞ!」
「それはみればわかるけれど、男子付きって叩くのやだな。喜びそうで」
 逃げつつ叫ぶ神宮時にシキはため息まじりで自分の得物である鞭をみた。
 神宮寺に負けないくらいがっしりした体格なのもまたシキを躊躇させている。
「とにかく、あっち! あっちにいきましょう! 駐車禁止とかその手のを消しているって聞いてますし!」
 梛織が神宮寺に狭い路地にある工事中の看板を指差した。
 どこか手作りっぽいが、今はそれどころではない。
「おうけい! 挟みうちで頼むぜ!」
 神宮寺がそれを飛び越え路地に入っていくと、エイプリル・ガイ&ボーイも神宮寺を追いかけていく。
「はっはっはっ、工事中じゃありませんよ。これから工事をするんですからね!」
 エイプリル・ガイの不吉な言葉が神宮寺の耳に届く。
 ボーイは工事中の看板を持ち前の能力で『工事前』にかえて遠慮なくはいっていった。
「工事前なら、俺らも十分いけるってもんよ!」
 梛織もシキもづづくが、悠里は看板に顔からぶつかった。
「悠里、どうしてお前はそういう芸人体質なんだ?」
「私にいわないでよ……」
 猫耳、尻尾付でピンクのフリフリメイド服な上涙目な悠里をみると梛織は何もいえなくなった。
「はいはい、かわい子ちゃんに見とれるのはわかるけれど、まずはあの変なのをどうにかしよう」
 同性愛とかは特に気にしないが、暇つぶしがしたいシキだった。
 そうして、路地を進んでいくと水道管工事中など手作り看板が不自然に続く。
 神宮寺が路地を抜けようとしたとき眩い白衣の男が立っていた。
「見つけたぞ、きぃぃさぁぁまぁぁらぁぁぁぁ!」
 眼鏡が光るその白衣の男。
 名前とかはわからないが、ほとばしるさっきが神宮寺さえも足を止めさせた。
「くそっ、ついてないぜ!」
 そう思いながら、神宮寺は構えると白衣の男、こと真舟はサクラ色のラメ二人組みを指差した。
「失敬、君に用はないんだ。僕は用があるのは後ろの二人組み! 我が妻の涙を十倍にして返してくれようぞ!」
 ばさっと開いた白衣の中から色とりどりの試験管がみえ、それをやたらめったに投げつけた。
 さまざまな溶液が二人の足もとに広がり、足を固める。
「なにっ!? ただのダンディと思ったらやりますね!」
「動けないよ!」
 二人は狭い路地で奇妙な動きをして避けたが、真舟の狙いは液体を混ぜ固めることだった。
「小学校理科教師を舐めないでもらいたいね!」
「あんた達のせいで恥をかいた乙女の恨みをうけなさいっ!」
 悠里がゴミとして捨てられていたフライパンやフォークを投げつける。
 動けない二人はそれをすべて受けてボロボロになっていた。
「ふふん、いい気味だね。さて一つ賭けをしよう」
 シキはにっこり笑いながらボロボロ担った二人に近づき、カードを2枚出す。
 一枚がキングで一枚がジョーカーだ。
 それをシャッフルし、裏に向けて二人に差し出す。
「ジョーカーを引かなかったら助けよう」
 ガイとボーイは相談の上、右のカードを指差した。
「残念。実はどっちもジョーカーだ」
 シキがトランプをひっくり返すと、道化師が2人笑っている。
「お前ら」
「まとめて飛んでいけ!」
 梛織の蹴りと神宮寺のパンチでガイとボーイは空高く飛びキランと光った。
「そういえば、一つ聞きたかったんだが」
 シキが蹴りとパンチで星にしてすがすがしい笑顔をしている二人の間に割りこみだす。
「あの変なのと知り合いってことは君らもおホモだち?」
「「違うわっ!」」
 梛織と神宮寺のダブル突っ込みがシキに入った。
 こうして、銀幕市のごく一部の平和は守られたのである。
 
〜その後の話〜
 悠里は長時間店を抜け出していたので首になり、また真舟はしばらくマッドサイエンティストモードに入っていたが、4月1日の幻だろうと小学生達は片付けていたという。
 そして、エイプリル・ガイとエイプリル・ボーイのプレミアムフィルムは未だ発見されていない。
 来年かえってくるかも?
 
 おしまい

クリエイターコメントはい、帰って着ましたおばかども。
メンバーも変わっていましたので、楽しくしあげさせていただきました。

ギリギリでごめんなさいです。

せっかくのプレイングも採用できない部分もあり、難しかったですが、銀幕らしい世界に仕上げれたのではないかと思います。

感想、リテイク要請などは受付ますのでどんどんください。

それでは、いつか運命の交錯するときまでごきげんよう。
公開日時2008-04-22(火) 19:40
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